先日、友人とランチをした時のことです。食事を終えてレジに向かったら、前の一組が清算をしていました。そのとき、つい目に留まったのが、清算をしていた女性が手にしていたお財布です。それは珍しいブルーで、ターコイズに近いけど、それよりも落ち着いた色でした。そして、ゴールドの飾りがポイントで、すごく洗練させた印象のデザインでした。お財布ってバッグや靴とは違って、服装に合わせて持ち替える人はあまりいませんよね。使い始めたら、余程でない限りしばらくは同じものを使うことが多いでしょう。毎年新しいものに買い替える人もいるかもしれませんけど、私は数年間は同じものを使います。でも、母が言ってたんです。「一日に何度か人前に出すものだから、傷んでいたり汚れていたりしてはいけない」って。ボロボロのお財布にはお金は貯まらないらしいです。そうそうラッキーカラーもありますものね。
そのときに思い出した小説があるんです。食堂が舞台の物語で、いくつかのエピソードで成り立っている小説です。その中にお客さんがお財布を出すシーンが何度もあるんだけど、そのたびに、色の描写があるんです。黒とかベージュとか。初めは特に意識もせずに読んでたんだけど、途中から毎回、その色が書いてあることに気づいたんです。お財布の色って印象的だし、個性を表しますものね。それによって、私は登場人物をイメージしていたように思います。持ち主そのものを表しているように思えるんですもの、不思議ですよね。